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父は私に話し始めた。
古いアルバムを片手に持ちながら、とても不器用そうに。
普段、アタシはあまり父とは会話をしない。
父の仕事が忙しいのもあるが、親も子もお互いのことにさほど興味がないのだ。
だから、父が不意に昔話を始めたのがとても不思議だった。
普段なら聞く耳も持たないが、父の昔話を耳を傾けた。
アタシによく似た父の妹と祖母の写った昔の写真を眺めながら。


全ての昔話を聞いて、私はやはり不思議な感じがした。
なぜだろう。なぜ父の妹は・・・叔母さんは・・・。


アタシは気になって、未だに残っている叔母さんの部屋に入った。
部屋の中は書物がずらりと並んでいた。少しほこりっぽい。
たくさんある本棚に置ききらない本は積み重ねられて置いてあった。
あまりに本があるので、子どもの頃はずっとこの部屋は書庫か何かだと思っていた。
だから逆に、この部屋に「本」以外のものがあるとは考えたことがなかった。
しばらく部屋を漁っていると、何やら紙の束がまとめてファイルの中に納められていた。
何やら沢山文字が並べられている。どうやら小説のコピーのようだ。
内容を読んでみる。小説・・・とういうより詩のようなもの・・。

「・・・?これ・・・どこかで見たことが・・・・・。」

そうだ、アタシはこれを読んだことがある。
初めて、ニゲラで見つけた本。
この本を読んでから、アタシはあの本屋に未だに通っているのだ。

「・・・。叔母さんが作った・・・のか?」

何度見返してもこれはあの本だ。叔母さんが作ったとは断定できないけれど、
保存状態を見ても、叔母さんはよっぽどこれを大切にしていたのだと思う。
アタシはそれを丁寧に元に戻す。ふと、また紙の束みたいなのがあるのに気づく。
気になったのでそれを手に取り、中身を見る。
中には先ほどとは打って変わった、手書きの乱雑に並んだ文字が並んでいた。
一枚に書かれた文字も多いが、赤字で何カ所も手直しみたいに修正が加えられているようだった。
紙もぼろぼろで何度も何度も描き直したのだということが分かる。
さらにもう一枚見てみると、今度は文字ではなかった。

「・・・楽譜?」

それにもやはり沢山の手直しがされていた。手書きの楽譜を見るのも初めてだが、
こんなに沢山の修正後が残っている楽譜は見たことがない。
音楽に詳しくないのだが、ここまで出来るのはかなりすごいのでは?
しかし、叔母さんが音楽が得意なんて聞いたことがない。本を読むのが大好きだったことくらいだ。
アタシは気になってその楽譜を持ち出した。
そして兄の元にそれを持っていく。天才タイプの兄なら多分楽譜が読めるだろう
という安易な考えだったが、やはり兄には音楽の才能もあったらしい。

「うわ~やたら細かいな~これ。叔母さんの歳で作ったとは思えない。」
「弾ける?」
「・・・弾けなくは無いけど、すぐには無理だな。」
「じゃあ明日までに。」
「無茶言うなよ」

結局兄は一日で弾けるようにした。本当にこの人ピアノ習ったこと無いのかと問いつめたくなる。
叔母さんが作った曲を弾いてもらう。
予想以上にテンポのいい曲。細かいと行っていた割に軽い気もする。
聞いていて気分がいい。優しい曲。
しかし途中で音が変わって思い雰囲気に、しかし途中で急に引っ張り上げるように強気になる。
少し寂しさを残す印象だ。
叔母さんの心境なのか、それとも叔母さんの性格?
そんな印象を持たせる。

(ああ、なんかこれ・・・あれだ・・・。あの詩に似てる気がする・・・)

叔母さんの部屋で見つけたあの詩の内容を思い出す。
ああ、やっぱりこんな感じだ。もしかしてあの詩をもとに曲を作った?
・・・ってことはもしかして・・・。

兄は全てを弾き終わって一息ついていた。
「ソラ兄!もう一回!」
「へ?」
「いいから、もう一回弾いて!」
「別にいいけど・・・」

兄は再びピアノを弾き始める。私は兄の奏でるピアノに合わせて、
詩と音を思い出しながら歌ってみた。
ああ、やっぱりだ。この曲はこの詩に合わせて作ってある。
しかもとても歌いやすくて音が綺麗。
そしてふと気づく。この詩に込められた想いに。
叔母から誰に宛てられた曲なのかが。




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