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一度だけ、父の写真を目にしたことがある。
自分が生まれる前の父と母が写っている写真。モノクロではあるがとても幸せそうに写っていた。
確か俺が12の時に死んだ。しかし、父の記憶は殆ど覚えていない。
そして一つだけ強烈に覚えているのは、父の笑った時に出来る皺は、
友人のどの両親よりも多かったことだ。

あとで知ったことだが、父は69歳で死んだ。母は32歳だった。
あまりに自然で幸せそうだったのでその年齢差に当時は気がつかなかった。
ただ、母には何も分からないのだ。父が死んだことも、いなくなったことも。
母は元々脳に障害を持つ人だった。記憶の蓄積が弱く、感情も常に不安定。
それでも幸せだったのは、父の支えがあってこそだったのだ。
しかし、父がいなくなった今は、何も感じることなく、変わらずに日々を過ごす。
母は、おかしくなってしまった。

でも、本当におかしくなっていたのはむしろ俺たち兄妹だった。
俺は勉強は出来ても荒れ狂っていた。
妹は次第に引っ込み思案に。そして、最悪の結末を迎えてしまった。
それに気づいたときにはもう何もかも手遅れだった。
今からでも間に合えと、どんなに願ってもそれが叶うことは無く、
妹は死んだ。

俺は一人残された。
そして、母も。
俺はまた母は父の時のように何も感じないと思っていた。

しかし、奇跡が起きてしまった。

母のココロが正常に動き始めたのだ。脳は記憶をし、感情を生み出す。
母は悲しみを知ってしまった。生きる人形にココロが宿ってしまったのだ。
誰もがそれを奇跡だと唄った。
しかし、俺には母が誰なのか分からなかった。
知らない人に見えた。人間になってしまった母に恐怖を覚えた。


俺はすぐに母の元から離れて、結婚をして子どもを産んだ。
双子の男の子と女の子。イギリス人とのハーフなのだが、
双子の女の子の方は髪色が違えど、俺の妹にそっくりだった。
成長していくたびにその子は妹に似、妹が死んだ年頃には本当にうり二つだった。
そしてあまりにうり二つだったせいか、娘の姿を見るのを嫌がった。
もしかしたら怖かったのかもしれない。妹にうり二つの金髪の少女を見るのが。
母は時に娘を箒で思い切り叩きつけた。同じ孫である息子との差別は誰にでも分かるほどだった。

俺はそれを、どうすることもできなかった。

しかし俺の娘は意外にもタフで、そんなことをちっとも気にしていなかった。
むしろ、祖母に自分を認めさせようと常に戦闘モードだった。

ある日、娘に母と俺の妹の話をした。
別に意味なんてなかった。タダの気まぐれ。
たまたまアルバムが出てきたもんだから、たまには娘との会話にと思い、
いい思い出の無い思い出話をしてやった。


話を全て聞いた娘は、さらなるキセキを産むことも知らずに・・・。



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